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ラトリー+リズム+主義の三位一体説。またの名を『楼堂舎(ろうどうしゃ)』。小説を載せてみたりフリーゲームをレビューしたり、ぼんやり考えてみたり。
by laboratory_1848


暫・定・復・活

さて、十月になりました。
今年が終わるまであと三ヶ月を切ったこの時期、何かを新しく始めてみるのも悪くない。
まして、かつてやっていたことならなおさら再開させたい気分になってくる。

というわけで(?)、ずっと放置していたこのブログですが、少しずつ温めなおしてみます。
まずはリンクの整理から始めて、徐々にコンテンツを充実させて……いけたらいいな、と。
# by laboratory_1848 | 2009-10-01 23:52 | 雑記

しばらく凍結宣言?

さて、明日からの新生活の始まりにともない、またもやブログが長期間止まりそうです。
昨年は何の書きこみもせずに長い間ほったらかしにしていましたが、
せめて今年はと思い、そっけないですがこうやって書いてみました。

またいつか生活サイクルに慣れてきたころ、再開できればいいなと思います。
# by laboratory_1848 | 2009-03-31 21:01 | 雑記

SS『夢の道程』

(タイトルは「ゆめのどうてい」と読みます。「どうてい」、つまりはそういう意味合い)






 夢の中で目を覚ますと、僕はいつも古い石碑を背にして座りこんでいる。
 真っ先に視界に飛びこんでくるのは、見わたす限りの広大、かつ静かな草原。雲ひとつない青空を舞う鳥たちの鳴き声が、心地よく耳の奥にまで届いてくる。
 無意識につかんでいた草をちぎって目の前で散らすと、むっとするほどの草いきれが果敢に鼻をくすぐってくる。夢の中だというのに、僕の意識は平凡な現実を生きている時よりもはるかに覚醒している。
 やがて軽く石碑に背をこすりながら立ち上がると、目に届く世界はさらに遠くへと広がっていく。左手前方にぼんやりと巨大な影を浮かび上がらせている岩山、右手のずっと平坦な草原の先にかすかに見える砂漠。
 清らかなせせらぎの音は、近くを流れる川から聞こえてくるものだ。そのまま目をつぶっていっさいの邪念を打ち払えば、気の遠くなるほどはるか彼方で寄せては返す海の波さえ、鼓膜を通して頭の中へと浸みわたっていくような気がする。
 親指と人差し指を唇に当て、口笛を吹く。現実では成し遂げたことも、まして聞き届けたことすらない美しい音色が辺りに響きわたる。しばらくして、たくましいひづめの音が次第に近づいてくる。大地を蹴る力強い足音は、いつ耳にしても最高に頼もしい。
 充分に近づいたと思えるところで、高らかな馬のいななきが聞こえてくる。振り返れば亜麻色の見事な毛並みをした愛馬が、しなやかな四つ足をそろえて主人の搭乗を今か今かと待っている。さらにその背後には、巨大な神殿がそびえ立っている。
 人が住んでいるとはとても思えない、荒れ果てた遺跡のような神殿。その中心部、最も損傷が少なく、最も高貴な人間がかつて住んでいたと想像できる尖塔の最上階に、僕は一人の眠り続ける少女を安置している。
 少女がいつから眠り始めたのか、いつごろ少女を最上階に置いてきたのか、月日の記憶ははっきりしない。しかし僕は確かに、この夢の中で眠る少女を抱きかかえて尖塔を上った。最も高い場所から地上を見下ろせる石造りの祭壇に、彼女の身体を横たえたのだ。
 尖塔を見上げるたび、僕の胸には刺すような悲しみとともに少女の記憶がよみがえる。永遠の眠りに落ちる前、彼女が何をしたのか、どんな顔をしていたのか、僕とどこまで関わりを持っていたのか。肝心なことは何もかもわからないまま、僕は彼女の目を閉じて何も語らない顔だけを心の中に思い浮かべる。
 愛馬が短く鼻息を鳴らした。僕が少女のことばかり想像していて嫉妬したのだろうか。近づいて首筋の毛をそっとなでてやり、機嫌を取り戻してくれと願う。風向きが変わるころには、彼女もすっかり気をよくして優しい目で僕のことを見てくれる。
 鞍のない愛馬に飛び乗り、手綱と轡だけで目指す場所へと導いていく。現実では馬にまたがったことなど一度もない僕が、夢の中ではどこへなりと馬を向かわせることができる。刻々と変化する風景、自然の織りなすいくつもの音を聞き分けながら、僕は広大かつ静かな草原を自由自在に駆け抜けていく。
 そのうち、不自然なほど平和で静まり返った世界に、異物のような存在が少しずつ入りこんでくるのを察知する。最初に反応するのは聴覚だ。ぴんと張りつめた耳の神経が、地響きのように巨大で遠慮のない足音を聞きつける。愛馬のその異常な音に反応し、手綱を操る前から音の発生源に向けて走り始める。
 続いて嗅覚が、濃い獣の匂いを感じ取る。閉じたまぶたの裏側で見ているはずの夢の中に、土足で踏みこんでくる猛々しい匂い。愛馬がぶるりと震えを感じ、小さくいななくのを必死に落ち着かせる。大丈夫、これはいつものことなのだから。
 口の中に広がり続ける唾液の味を噛みしめながら、愛馬にまたがった僕は徐々に異物へと近づいていく。そして一定の距離に達した瞬間、相手はその恐るべき正体を突如としてこちらに視認できる形であらわにするのだ。
 それはいつも巨人だった。あまりの巨体にどのような顔立ちをしているのかもわからず、山のような図体に生えた太い手足だけが巨人の身体として視界に映し出される。一度視界に入れば最後、どんなに馬を飛ばして逃げようとも地の果てまで追いかけてくる。
 絶対に逃げられないことを知りながら、僕は馬を駆って巨人へと近づいていく。こんなちっぽけな存在なのに、巨人は僕の姿を見つけて迫ってくる。目の前に広がる手足はますます大きくなり、さながら動く岩山のような様相を呈してくる。
 巨人が片足を大きく持ち上げた。足の裏に付着して引きはがされた土石があちこちに飛び散り、愛馬にも命中して悲鳴を上げる。僕は彼女から飛び下りて地面を走り、巨人が持ち上げた足の真下へと駆けこんでいく。
 その時、僕の姿を真正面から見つめたとしたら、きっとどんな瞬間よりも真剣な表情をしているに違いない。冷酷な現実に打ちのめされ、いまだに前に進めないでいる僕が、夢の中では精一杯の勇気を振りしぼって巨人の足もとにたどり着こうとする。今にも振り下ろされようとする巨大な影の恐怖と戦いながら、必死に目的地へと足を進めていく。
 そしてついに、僕は天辺に巨人の足を見上げる場所へと到達する。迫りくる巨人の足を目で、音で、匂いで、口の中で充分に味わいながら、

 無残にも押しつぶされていく。

 ……そして、放心の中で目が覚めるのだ。
 現実のような夢が終わり、夢のような現実が始まる。濃厚な草いきれは一瞬にして消えうせ、ほこりまみれの汚れた空気がとってかわる。何の張り合いもないくすんだ日常が、望んでもいないのに勝手に始まって勝手に終わっていく。
 この悪夢という名の現実を終わらせる方法を、僕は知っている。だが、もしそんなことをすれば、理想という名の夢は跡形もなく砕け散ってしまう。
 自由にならない世界で限られた時間を生きるより、いっそ果てしなく自由な世界で永遠の命を味わいたい。あいまいな現実の中でそう願い始めた瞬間、僕はあの永い眠りから覚めた少女の声を、はっきりと耳にするのだ。

「私のことはいいから、早くホンモノの彼女見つけなさいよね」

 僕はまだ、その声が彼女のものだと受け入れることを拒んでいる。

(了)
# by laboratory_1848 | 2009-03-31 20:58 | 短編小説

SS『ひな祭りのごちそう』

(WBC日本優勝を記念?して、少し前に書いたものを上げてみます)






 ぼくの大好きな神山陽菜ちゃんの誕生日は、三月三日。つまり今日だ。
 十二回目の誕生日を迎えた陽菜ちゃんは、いちだんと可愛らしくなりつつある。まっすぐに腰まで伸びた黒髪は、遠くから見てもさらさらとして手触りがよさそうだ。ぴんと通った鼻筋や、小さくまとまった両耳の形なども美人にふさわしい。
 何より、あのくりくりとした目玉だ。いつも明るくて、吸いこまれてしまいそうになる。あの瞳を彼女の顔から奪い去ることができれば、どんなに幸せなことだろう。
 しかしそんな陽菜ちゃんの家庭環境は、とても厳しくつらいものだ。
 母一人、娘一人の母子家庭。あと、三年ほど前から野良犬を拾って飼っている。母親は旦那と縁を切り、逃げるようにこのニュータウンに移り住んできたようだ。一度、強面の男が母親と陽菜ちゃんの名前を呼びながら、家の前で長時間怒鳴っていたのを遠くから見たことがある。
 現在、母親は女手一つで陽菜ちゃんを育て上げるため、昼間はスーパーのパート、夜はバーのホステスとして寝る間もないほど忙しい毎日を過ごしている。バツイチ、ロートルというハンディキャップをものともせず、陽菜ちゃんのために精一杯働いている。
 子持ちでホステスをやるくらいだから、年をとってもなかなかきれいな女の人だ。彼女に似たのか、陽菜ちゃんも目鼻立ちの整った可愛い女の子に育った。小学校にあがるころからずっと観察を続けているが、将来は母親を超える美女になるだろう。
 だが、それではぼくには遅すぎるのだ。あの瞳の輝きは、少女特有の純真な心がなければ決して保たれない。おそらくあと二年も経てば、彼女も大人の世界の汚れを知って、世の中を醒めた目で見るようになってしまうに違いない。
 頭のいい陽菜ちゃんのことだから、お母さんのためにがんばろうと、今の時点からあれこれ家事を手伝っているはずだ。だとしたら、あの瞳の輝きが彼女の顔に残っているのはこの春が最後かもしれない。
 家計の苦しい陽菜ちゃんなら、近所の公立中学校以外に行く場所がないだろう。だが、あんな荒れた環境に身を置いてしまえば、これまで奇跡のように続いてきた彼女の美しさは間違いなく永遠に失われてしまう。
 ああ、陽菜ちゃんが家から出てきた。いつもと変わらない、この世の悪を何も知らないかのごとき美しい瞳を顔の上で輝かせている。何メートルも離れた路上にいても、目のいいぼくにはすぐにわかる。優れた眼は互いに引きつけ合うのかもしれない。
 ひな祭りの日に生まれた陽菜ちゃん。飼っている犬の散歩のために外へ出てきたが、きっと家に帰ればささやかな誕生日パーティが待っているに違いない。高い料理やひな人形は望めなくても、きっと母親と犬とで静かに今日という日を祝うのだろう。
 その祝祭の場にぼくは居合わせることができない。なぜって、ぼくはどうしようもなく部外者だから。偶然という名のもとに君を知ることができなければ、路上のゴミをただむやみに漁って生きていくだけの毎日を送っていたはずだ。そんな日々がぼくのような存在にはお似合いだろうと思っていたし、それが当然なんだと信じきっていた。
 陽菜ちゃん。ああ、大好きな陽菜ちゃん。ぼくと君とでは住む世界が違いすぎるけれど、そんなぼくたちの間にも、たとえ一方通行とはいえ恋の炎が生まれたんだ。この気持ちを伝えられないまま、無為に時だけが過ぎていくのは耐えられない。
 だから申し訳ないけど、本当に君には不幸なことだろうけど、君の目玉をくり抜きたい。今すぐに君のもとへ飛んで行って、顔からその輝きを奪い去りたい。そうして飲み下したい。ずっと君を輝かせていた源を、永遠にぼくのものとして身体の中に収めたい。
 君は、ぼくのための生贄なんだ。そうなるのが運命だったんだ。
 ぼくは両腕を広げると、高く声を上げて陽菜ちゃんに飛びかかっていった。
 ぐんぐん陽菜ちゃんの顔が近づいてくる。楽しそうに犬に話しかけていた陽菜ちゃんがこちらを向いて、恐怖に表情を凍りつかせる。ひっと息を呑む音が聞こえる。あと少し、もう少しだ。狙いを間違えなければ一瞬で陽菜ちゃんの目玉を――

 だが、ぼくの願望はあえなく粉砕された。

「い、イチロー……?」
 犬の名前だろうか。目にもとまらぬ俊敏な動きで跳びはねた犬の前足により、ぼくは地面にたたき落とされた。おまけに翼を踏みつけられ、二度と起き上がれなくなった。
「イチロー、すごーい。飛んでるカラスさんを捕まえちゃった。やっぱ名前がよかったのかもね。うふふふふっ」
 楽しそうに微笑む陽菜ちゃんの顔が視界に入っていることが、せめてもの救いだった。笑みを絶やさないまま、陽菜ちゃんは優しくぼくの首もとに手をかけた。
「せっかく捕まえたんだし、今日はカラスシチューを作ってもいいかもね」
 生贄になったのは、どうやらぼくのほうらしい。
 メキメキと首の骨が折れていく音を聞きながら、ぼくは最期の幸せを思った。

(了)
# by laboratory_1848 | 2009-03-27 01:20 | 短編小説

ひとまず最後?のお礼

「東方不敗小町5」にてサークル「Rod's Blade」に立ち寄ってくださった皆さま方、
遅れましたが、本当にありがとうございました。今回もなかなかの盛況でした。
わずかな期間に三つのイベントに参加するというハードスケジュールでしたが、
得たものも大きかったです。そうそう忘れられない経験になることでしょう。

さて、自分は四月からゆえあって東京を離れることになります。
そのため、これからオンリーイベントに参加するのはかなり難しくなりそうです。
しかしまあ、そこは筐ヶ瀬巻飴君や後進の人々の活躍に期待するとして。
陰ながら応援&援助できるような立場でやっていければなあ、なんて思ってます。

そんなわけで「Rod's Blade」、ひょっとしたらまだまだ続く……かもしれません。
詳しいところが決まるのは、もう少し経ってからになりそうです。
# by laboratory_1848 | 2009-03-23 23:12 | 東方Project関係